文章
笼岛 みどり
2017年03月13日
皆さんは古典園芸植物と聞いて、何を思い浮かべますか。
菊、朝顔、牡丹、桜、皐月、そして今が盛りの花菖蒲。
今回2箇所の花菖蒲園で撮影を行い、じっくりと花菖蒲に向き合ってみると、古典園芸植物に対する思いが変わって行きました。
1.いせはらあやめの里
先日、神奈川県伊勢原市にある「いせはらあやめの里」に、トイカメラを携えて花菖蒲の撮影に行ってきました。
「いせはらあやめの里」は最盛期には約1.3ヘクタールの畑に、200品種20000株の花菖蒲が咲く「かながわの花名所100選」の一つでした。
その日訪れてみると、事前に知っていたとはいえ、その光景に込み上げてくる思いがありました。
目の前の畑は僅かに3面程度、他は花菖蒲畑になる前の水田に戻っていました。
2年前の同時期に訪れた時は「あやめまつり」が催され、音楽が流れる中、屋台が並び、向こうまで咲く花菖蒲は、よくある花菖蒲園の水田ではなく畑なので、近くまで寄って撮影できました。
その時は知りませんでしたが、「あやめまつり」はこの年が最後でした。
栽培農家の高齢化と後継者不足、市からのすべての支援が打ち切られ、この花菖蒲畑は2017年度をもって廃止される予定です。
それでも今年訪れたのは、まつりは行われませんが、あやめの里が出来た時から栽培を続けている農家の方が、自由に見学できるように、ご自身の畑を維持されていると聞いたからでした。
もう来年は見ることができないかもしれない花菖蒲畑で、名前は分かりませんが、かつて撮影した品種と同じものをパシャ。
空を見上げてパシャ。
見学をさせて下さっている農家の方と、静岡から見に来られたお客様がお話をされていました。 もちろん惜しむ声が聞こえてきます。 皆さんももしお近くにお住まいならば、訪れてみてはいかがでしょうか。
2.神奈川県立相模原公園「水無月園」
同じ日にもう1箇所菖蒲園を訪れました。
こちらは神奈川県立相模原公園にある「水無月園」。
118品種26000株の花菖蒲が植栽されています。
訪れて最初に見かけたのは、透き通るような水色の花菖蒲。
品種名は分かりませんでした。
もう少し濃い青の花菖蒲も咲いています。
花菖蒲は花弁のことを花被と呼びます。 このように見事な柄の花被が垂れ咲きになる姿こそ、花菖蒲らしいとイメージされる方が多いのではないでしょうか。
このように最も目立つ外花被が3枚のものを、「三英」と呼びます。
3.白地にぼかしの花菖蒲
今回は奥の花菖蒲田から「水無月園」に入りましたが、手前の大きな花菖蒲田がメインどころでしょう。
入り口近くは「清少納言」の群植が、見事に咲いていました。
白い花被に薄い青のぼかしが美しい品種。
これまで花菖蒲の品種について関心を持っていませんでしたが、「いせはらあやめの里」のように、毎年見られると思っていた花が、そうではないと今更ながらに確認し、今回は意識して1種1種を見ようと思いました。 「清少納言」をもう一枚。
次は「児化粧・チゴゲショウ」。 白地に薄紅色のぼかし。 このように内花被が発達し、6枚に見えるものは「六英」と呼びます。
「児化粧」は肥後系です。 花菖蒲は江戸時代から日本各地で改良され、その地方の美意識を反映し、特色が分かれてきました。 肥後系は花が大きく、豪華絢爛な花容。
こちらも六英の花菖蒲。 白地に薄紫のぼかし。 品種は分かりませんでした。
-白地に筋入りの花菖蒲-
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